温度・酸化・グラス
普段飲まれているワインの美味しさを最大限に引き出していますか?
ワインを美味しく変えるということはそれほど難しくありません。
きちんと知って、こだわる事でワインを今より何倍も楽しむことができます。
もっと美味しくワインを飲む為に、本当に大事な3つのこと。
ワインほど温度一つで味わいが激変する飲み物はありません。
冷蔵庫から出してすぐ飲んだり、室内に長時間ほったらかしに
したものをそのまま飲んでませんか?
当店のお客様に実施したアンケートの結果、
ワインの温度が1.5度変わればほとんどの人がその味の違いに
気づく事がわかっています。1.5度というのはワインをグラスに次いだ後、わずか数10分で変化する範囲の温度です。
ワインには必ずしもそのワインにあった温度=適温があります。
よく白は冷やして、赤は常温でと言われますが、では常温とは何度でしょう?
常温は季節によっても変わりますし、もっといえば部屋の温度でも変わります。
15度で飲むのか17度で飲むのかでは前述したとおり、1.5度で味が変わるのですから、味わいも別物になります。
10度で飲めばおいしいワインを6度で飲んでいてはワインが台無しです。
ワイン通になるには温度にもこだわりましょう。
飲んだ時のワインが適温かどうかというのは人それぞれの好みで決まります。
自分好みの味わいにするには自分で温度を上げたり下げたりする必要がありますが、
実際温度を上げ下げすることで味わいがどう変化するのかを見ていきましょう。
①温度を下げると味わいはどう変化する?
・酸味が強くなる
・渋みが強くなる(赤ワインの場合) えぐみが出る(白ワインの場合)
・香りを感じにくくなる
・すっきりとした味わいになる
②温度を上げると味わいはどう変化する?
・味わいがまろやかになる
・アルコール感を感じやすくなる
・香りを感じやすくなる
・酸味を感じにくくなる
飲んだワインがちょっと口に合わないときは温度を変えてみると飲みやすくなります。
例えば渋みや酸味をなくしてまろやかにしたい時はグラスを手で温めて温度を上げたり
逆にすっきりと飲みたい時はグラスを少し冷やしてから注ぐなど、調節が大事です。
ワインに酸素を与えることは寝ているワインを起こす為の作業です。
抜栓してすぐはワインがまだ寝起きの状態の為、味わいも香りも
ぼんやりとしている為、はっきりと覚醒させて、美味しいワインに
変える必要があります。
ワインをまろやかに、また香りを出す為のデキャンタ―ジュ(酸化)は
よく知られていますが、ただやればいいというものではありません。
よくグルグルとワインを常にグラスの中で回している人を見かけますが
それは決して正しい行為ではありません。
酸素を与えすぎると不味くなるワインもあります。
どれくらい酸化させるのか、それはデキャンタで酸化させるのか、グラスで酸化させるのか、
放置してなるべくゆっくりと空気に触れさせるのか、
プロのソムリエならテイスティングすれば、ある程度の判断が出来ますが、全ての人は容易にできません。
ではどのワインにどういう酸化をさせるのが適切なのか?分かりやすく人間を例に見ていきましょう。
①若者は往復ビンタでさっさと起こそう
若者とは要はヴィンテージが若いワインです。
そんなワインは少々手荒な方が良いです。
グラスからグラスでも、デキャンタでも、泡立つくらいに高い場所から
落として酸化させましょう。何回か繰り返しても、
デキャンタをバシャバシャ振っても問題ありません。
しっかり起こしてやれば、渋みもまろやかに、香りも際立つはずです。でも手荒にした後は少しだけ落ち着くまで待ってあげてください。10分ほどで構いません。
②妙齢の淑女は揺り動かすように、なるべく優しく起こそう
妙齢の淑女とは、要はヴィンテージもののワインです。
年を重ねるとやはりデリケートになっているので、優しく
起こしてあげることが必須です。ゆっくりと酸化させてあげて下さい。
一度デキャンタし、その後ゆっくりと変化を楽しみましょう。
本当に高齢なものに関してはデキャンタもさけ、
大きめのグラスでゆったりと3回ほど回し、じっくりと待つのが確実です。
ヴィンテージワインは既にピークに近い為、酸化をさせすぎるとどんどん枯れてしまい、味わいも香りも抜けてしまうので気を付けましょう。
③体の弱そうな者はとにかく優しく丁寧に扱う事
ここでいう体の弱い者は軽めのライトボディのワインです。
こういったワインはもともと酸が多いので、
酸化させるとさらに酸が際立って飲みにくくなることがあります。
ヴィンテージの若い、古いに関係なく優しくじっくりと起こしてあげることが必須です。
特に年代物のものは非常に注意が必要です。
基本はどのワインでもゆったりと起こしてあげるのが好ましいのですが、
抜栓してすぐ飲みたい時は以上に気を付けて酸化させてください。
グラスもまた、ワインの味わいを大きく変化させる要因の一つです。
ワイングラスは大きいものが良いとされてきました。
そしてブルゴーニュグラス、ピノノワールグラス、リースリンググラスというように飲むワインのタイプでグラスが選ばれていました。
具体的に言うと、
重ためならブルゴーニュグラス、軽めならピノノワールグラス、白ならリースリングとかく言うレストランやワインバーですら
ある程度その法則にのっとってそれぞれワインを提供しているはずです。
しかし、実は、ブルゴーニュグラスが必ずしもブルゴーニュタイプの
ワインに合うとは言い切れないのです。ボルドーグラスやリースリンググラスも同じくです。
詳しい検証結果はこちら。
しかし、それではワイングラス選びに困ると思うので、導き出した結果で確実なものをいくつか紹介いたします。
①大きく、口当たりの良いものを選ぶ
大ぶりのものは香りをふんだんに感じられるだけでなく、
雰囲気も大きく左右します。
口当たりの良いものとは、グラスの淵の厚みの薄いものです。
厚みが薄ければ薄いほど、旨みを感じやすく、
より、ワインの美味しさを感じることができるでしょう。
②この形状は飲むワインを選ぶ
この形状のグラスは注ぐワインによって
酸味や渋みが強調されることがあります。
(詳細は検索結果参照)
初心者の方、もしくは、家に一脚欲しい、
などという方には向かないでしょう。
しっかりした白ワインなどには
非常に適したグラスです。
③迷ったらコレ!
ワイングラス選びに迷ったら、ボルドータイプを選びましょう。
こちらならある程度、どのようなワインにも
対応できます。
ただボルドータイプと言われているワイングラスでも
②であげたような底がほそくなっているものも
ボルドータイプと言われていますので
形状には注意してください。
くれぐれもワイングラスの名前を信用してはいけません。
折角の良いワインがそのグラスで台無しになってしまうかもしれません。
グラス選びは慎重に。