グレートヴィンテージに気を付けろ①
- 2017.03.24
- ブログ
さて、今回の「グレートヴィンテージ」の話に参りましょう。
ワインの材料であるブドウ。
そのブドウの出来はもちろんワインの出来を大きく左右します。
そこで、良いワインが出来るだろうという意味を込めて、
ブドウの出来が良かった年を「グレートヴィンテージ」と言います。
ワイン愛好家の方たちは、その素晴らしいワインを手に入れる為、グレートヴィンテージを追い求めて
探し回り、高額なお金を払うのですが、、、、、
しかし、そこで、気を付けなければならないことがあるのです。
まず、グレートヴィンテージが出来る条件ですが、
それは「気候」がほぼ全てを左右します。
ブドウ生育にとって好ましくない条件はというと、
①暑すぎる…酷暑はダメ
②寒すぎる…冷夏はダメ
③収穫前に雨が降ったり強風が吹く…病気になったり香りが飛ぶのでダメ
逆に好ましい条件は、
①年間を通して温暖
②一日の寒暖差が激しい日が多い
③日照時間が長い
などが、あげられます。
これらの条件にどれくらいあてはまったか、というのを年間を通じて判断し、
この年はグレート、この年は普通、この年は悪いなどと決めていくのです。
ボジョレーなどが良い例です。
「今年は100年に一度の…」や「今までにない…」など(まあ、ここは毎年グレートヴィンテージ扱いですが 笑)
こういった事をボルドーやブルゴーニュ、カリフォルニア、イタリアなどでも行っているんです。
そしてそれぞれ、チャートがあり、
ブルゴーニュの2000年は星が○つ、ボルドーの2003年は星が○つなどのように、
インターネットなんかを見るとそんな表がゴロゴロしています。
その表を見て、例えば、「2000年のボルドーはグレートヴィンテージだ!飲んでみたい!」となって、
高級なワインをレストランや店舗で買うことになるんです。
何度も言いますが、グレートヴィンテージのボルドーやブルゴーニュなどは
手に入りにくく、ましてや見つけたとしても大変高額です。
例えば…ボルドーの「CH.ラグランジュ」というワイン。
2012年ものなら5,000円代くらいです。それが2000年になると…いくらだと思いますか?
これが、、、12000円!!2倍以上になるんです!!
もちろん、オールドヴィンテージということで多少値段は上がるにしても、、、、異常です。
これが普段5万円前後する5大シャトーならどうでしょう?
考えただけでもゾッとします。今度は2倍くらいじゃ収まらないでしょうし、ケタが変わってきます。
さて、ここで、質問です。
この二つ(2000年と2012年)を飲み比べした時にどのくらいの人がその味わいの違いに気づくでしょう?
「2000年はやはり素晴らしい!!2倍以上出す価値はあるな!!」と
皆が思うでしょうか?恐らくそんなことはないでしょう。
ワインの趣向やお金の価値観は人それぞれですが、そう思えるのは少数派だと思います。
ここで、既にヴィンテージチャートに皆さん、踊らされているんですよ。
グレートヴィンテージと決まった段階で、そのワインの値段は通常よりもブランド価格が上乗せされ、
値段が高くつけられるようになっているんです。
この例はまだ、マシです。
もっと最悪なパターンがあります。
それは、飲み比べることもせず、漠然とグレートヴィンテージのワインを何でもいいから飲む、という事です。
当店でもよく聞かれます。
「○○年のブルゴーニュある?」って。
「…ございません」
うちはイタリアン専門なのでそもそもフランスワインをあまり置いてないからなんですが、
イタリアワインでも同じです。
イタリアでは2004年がグレートヴィンテージと言われています。
と、ここまで読んでくると薄々、ちょっとおかしい事を言っているなと気づきませんか?
2004年は天候がよく、グレートヴィンテージとされている。
だからと言って、イタリアのすべての2004年のワインがそんなに美味しいの?!
と考えるのが普通ですよね。
でも美味しいワインを飲みたい!しかもグレートヴィンテージのものを!
と思われることもあると思います。
そこで次回は「グレートヴィンテージとの付き合い方、ワインの賢い選び方」をお伝えします。
お楽しみに!!
著:正木亜矢子
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